経営分析「古着屋さん」–番外編–
どもどもこんにちは。
「ctrl+Z」で1行程戻れます。うるです。
今日は以前記事にした『経営分析「古着屋さん」』の番外編です。
前回は在庫の廃棄がないものとして計算していました。
今回は一定割合の廃棄が出てしまうと仮定し、再度分析してみます。
(設定条件)
営業時間12〜20時、週1定休
駅徒歩12分
面積9坪
1ヶ月あたりの固定費用は前回と同様に
合計35万5000円
さらに毎月7万円を買い付け時の滞在費の積立金として固定費用として計上します。
よって
固定費42万5000円
売上原価は一定比率で販売量に応じて変化します。
その比率は前編で見たとおり売上に対し49.5%です。
ここまでは前回のおさらいですね
ここから今回は廃棄率を使用します。
今回、廃棄率は15%と仮定しましょう。
仕入れ品の15%は売れ残ることで売上高が15%低下します。
そして売れ残り品についてですが、売れていない為売上原価には含めません。
(現金は流出しているのでその時に費用としたくなる気も分かるんですが、売れた時に対応する仕入れ値を費用とするのが会計制度の仕組みです)
売れなくても在庫として保有しているため現金が資産に変わっただけというわけです。
しかし今回は店舗も小さく、在庫を大量に抱えることはできません。
保存しておいても次入荷品のスペースを圧迫してしまうことから
廃棄損として処分することにします。
(=ロスとして費用計上します。)
実際に損益分岐点分析してみましょう。
使用する廃棄率15%は仕入に対する廃棄率でした。(=仕入廃棄率)
これを売上に対応する廃棄率(=売上廃棄率)に変換して
売上高–(売上高×売上高原価率49.5%)–(売上高×売上高廃棄率8.74%)– 固定費42.5万=0
売上高廃棄率;総仕入れ量×15%=8.74%
総仕入れ量;売上原価/85%
売上原価;売上×原価率49.5%
上記の式より
月あたり損益分岐点売上高は101.76万円となります。
101.76万円を売り上げる為に50.37万円分が実際に販売され、
追加で8.89万円分が廃棄となります。
つまり15%の売れ残りを見越して59.26万円分の商品が必要となるわけです。
この場合の1日あたりの損益分岐点売上高は4.07万円となり、後編で求めた3.4万円から少し値上がりしましたす。
売上に対する売上原価の比率は一定であるため売上が変化しても売上高原価率は不変ですが、
廃棄も同じく一定で生じています。
言い換えると、仕入れた商品の85%を販売するために15%分の費用が掛かるイメージです。
(売上原価率の上昇(49.5%+8.74%=58.24%)ともみなすことができます。)
実際に売れ残るかどうかは別として、
一定の売れ残りを想定して損益予測を立てることで
どれだけ仕入れたら良いかなどの検討もつけやすくなるのではないでしょうか。
また、目標となる販売量の設定にも役立ちます。
今回の例では15%が売れ残る仮定を立てましたが、
この仮定のもと仕入れて、仮に売れ残りが15%以下だった場合、
売れ残りは生じていますが損益は黒字になります。
売れ残りを0にするのは現実的に厳しいとして、
どの程度までの売れ残りを許容範囲とするのか、より現実的な判断をすることができますよね。
今回は極端な例として全てを廃棄処分したケースでした。
仮にトランクルーム等を借り、売れ残りを保存する場合などについても考えていけたらいいですね。
(いつかやります(多分