Wool’s Loogs

うるです。思うままに書いてます。

古着屋さんー後編ー

どもどもこんにちは。

うるです。

 

 

今回の記事は前の記事『経営分析「古着屋さん」–前編–』

の続きになっています。

 

 

 

 

古着屋さんてあんまり人入ってなくて暇そうだけど、儲かってんの?

なんてふと思ったことがきっかけで書き始めた記事です。

後編では実際に店舗を経営している状況を想定して損益分析していきます。

 

 

 

 

前回は古着屋さんの仕入れに掛かる費用と損益についてみていきました。

 

しかし実店舗を持つ一般的古着屋の場合、期間に掛かる費用もあります。

期間費用の代表的なものとしてテナント料と光熱費です。

また、スタッフの人件費もかかります。

 

 

テナント料はお店の立地条件によって大きく変動します。

とはいえ、SNSの発達した現代において

他業種と比べて古着屋の場合は空中階や路地裏など立地における集客数の減少幅は小さいと思います。

一度認知されさえすれば、その店に立ち寄る目的(買うかは別として)でそのエリアに来ているため、

集客のための好立地はそれほど必要ない。

つまり、ターゲットとなる客層がいる場の周辺であれば

多少駅から離れていたり、空中階に開店してもそんなに問題ないと言えます。

 

 

 

僕が古着屋を探す際も、友達の紹介やSNSで知ることが多く、

かつ古着屋に行くときは何店舗か巡ります。

(古着屋巡りをしている人をターゲットにしている。これが古着屋がある地域に複数まとまって営業している理由のひとつかもしれません。)

 

SNSでの写真からは商品についてのみではなく、お店の雰囲気などいろいろなことが読み取れます。

お店の内装も、雑多な雰囲気より統一感のある内装や商品、

アトリエや美術展のような魅力を感じるレイアウトなど、

他店舗との差別化を図ることでファンを獲得しやすくなります。

 

 

駅近や一階に高い賃料を支払って出店するよりも、

賃料を抑えた分内装にこだわりのある方がファンを作り、集客力を高めるわけです。

 

 

 

 

これらを踏まえて、

仮に東京の下北沢あたりに出店しているとします。

実際の物件情報をいくつか見てデータサンプリングしています。

 

 

(設定条件)

営業時間12時〜20時、週1定休

駅徒歩12分

面積9坪

 

人件費

バイトスタッフに掛かる人件費は1日あたり

@950円×8時間=7600円

1ヶ月あたり人件費は

@7600円×25日=19万円

 

テナント料

坪単価1.666万円×9坪=15万円

 

光熱費

月1万5000円

 

 

よって1月あたり期間費用合計35万5000円

 

 

実店舗を持つ場合これらの費用が追加されます。

月あたり最低でも35万5000円以上の収入がなければ店舗自体が存続できず、

損益分岐的にみても

月あたり85万円売り上げてようやく損益分岐点に到達します。

仕入れは3ヶ月に一度、1週間の日程で行われると仮定。

当然仕入れにいく回数が減るほど=一回の仕入れでまとめ買いするほど

損益分岐点売上高も低くなっていきます。)

 

月85万円の売り上げに含まれる変動原価は42.5万円、

買い付けに掛かる滞在費は月割りの期間費用としています。

つまり1回の買い付けで127.5万円以上仕入れなければ、そもそも仕入れた商品全てを販売しても赤字になります。

 

 

ちなみに月間損益分岐点である85万円の売り上げは1日あたり3.4万円になります。

例えば

ビンテージのold coachのバッグなど1点で1万7千円

スラックス7500円、シルクスカーフ9500円

なんかの組み合わせで目標達成となります。

 

 

古着やビンテージのお店によくある同カテゴリー商品間での値段設定のばらつきは目標金額達成を安定させるための手段にも思えてきます。

(アクセサリーやバッグなど、値段の高いカテゴリーの販売数が売り上げの安定性に直結しないよう、全カテゴリーにおいて値段の幅を持たせることでリスクを分散させている。)

 

 

 

 

今回は下北沢に出店していたケースで、簡略化して損益分析してみました。

1日あたりの損益分岐売上高が3.4万円と聞くとなんとなく希望が持てますよね!!

 

ですがそれは売り残りが一切生じない理論値であり、

実際の売れ残り率を組み込むとさらに状況は厳しくになります。

幸いにも衣類に消費期限等はないため、翌シーズンにも販売は可能です。

ネットショップと併用することで、旬を飾りたい店頭のスペースを失うことなく年中販売可能です。

 

とはいえ、売れ残りが完全に無くなる事はおそらくないため、売れ残らない商品を出来るだけ安く仕入れる必要があります。

また、仕入れ量が少なくても赤字、多すぎても現金不足の資金難に陥るためバランスが求められます。

この辺りはやはり買い付け人の技量が試されるところですね。

 

 

さらに、

買い付けの度に多額の現金支出があり、回収はいつになるか未定というリスクもあります。

1日あたりの来客数が少ない古着屋の場合、

日毎の売上高にばらつきが出てしまい予測もたてにくいことが予想されます。

収入の先行き不透明さ故に資金繰りについても難しいと思います。

潰れずに何年も続く古着屋さんて実は凄いんですね。

 

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長々とした記事に浅いまとめですみません😂